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「流域人材」育成のためのトライアル研修を実施しました

みなさん、こんにちは。インターンの佐野です。5/22(木)は、社内研修としてJISSUI(社会実装推進センター)さんの講座を受けました。
今回は、川上と川下をつなぐ産業を創出する「流域人材」育成のためのトライアル研修です。この研修を通して、多角的な視点で地域課題を構造化・可視化するフレームワークを実習を通して学びました。

流域産業・流域人材について

川上・川中・川下それぞれの産業が分断されている森林において、もりとみず基金として川上〜川下を横断して双方の需要をつないで産業を創出する必要があると考えています。そうした産業を「流域産業」と名付けて、そうした産業を創出する人材を「流域人材」と位置付けています。

その「流域人材」を作っていく上では、その人たちを育成し伴走・支援していく人たち(流域思考人材)も必要と考えており、その役割を財団が担いたいと考えています。

流域思考人材に必要な能力として

⚫ 川上〜川下における産業構造の分断を超えて、隣接・周辺領域の課題やリソースを構造的に理解ができる。
⚫ 検討した事業内容が、流域全体へ波及する価値(インパクト)を構造的の理解ができる。
⚫ 上記2点の能力を用いて、流域全体の価値を高めるための事業設計を実行あるいは支援することができる。

といった点が挙げられます。

今回は、こうした思考方法やフレームワークを身に付けるために、JISSUIさんに支援をお願いしました。

今回のテーマ発表

はじめに、今回のテーマが示されました。テーマは「森の環境価値を付与したこれまでにない商品・サービスを他視点からの可視化と構造化を用いて考える」でした。
「森の環境価値を付与したこれまでにない商品・サービスを考える」というテーマが示されたうえで、早速話し合いに…とはいかず、まずは講義を聞きました。講義では、「システム思考」と「デザイン思考」という2つの考え方について説明を受けました。難しく聞こえる部分もありましたが、具体例を挙げながらの説明があり、そういうことかと理解できました。

いざ、実践ーまずは、チームビルディング

講義を受けたあとにいざ、実践です。2つのチームに分かれてテーマについて考えます。いきなりテーマについて考えるのではなく、チームビルディングからスタートしました。チームビルディングでは、
①各自ニックネームを決める
②1人ずつ名前と所属と一緒に自分がイノベーティブだなと感じたサービス・商品を紹介(1人1分程度)
③チームで、ものすごい結果が出そうなチーム名を考える
以上のことを行いました。僕のいるチーム名は「ホンダのエジソン」、もう片方のチームは「任天堂の野望」になりました。どちらもすごいアイデアが出そうなチーム名に感じました。

問いを立て方①

森の環境価値を付与した見たことも聞いたこともないサービス・商品を考えるために、「〇〇を△△するにはどうしたら良いか?」という問いを立てるところからスタートしました。
今回は、問いを立てるための参考になるやり方の1つである「今あるものから考えてみる」をやりました。今すでにある森の環境価値活用アイデアを書いて、模造紙に貼っていきました。

次に縦軸と横軸それぞれを決めて出したアイデアを配置して整理してみました。軸の内容は自由に変えることができ、さまざまな軸で試してみました。

これまでの作業を通じて得た気づきをもとに、問いをなるべくたくさん考えて書き出しました。

問いの立て方②

別の問いの立て方として、問題の完全解決を目指さない方法を実践しました。
①「森の環境価値が伝わらない」という結果に対する原因をたくさん考える
②原因を細かく分ける
③細かく分けた原因から問いを立てる
というように、問いを立てました。
この2つの方法でたくさんの問いを立てましたが、そのなかから1つの問いを決定しました。このとき、「森の環境価値を付与したこれまでにない商品・サービスを作るにはどうすればいいか?」という大きな問いの捉え直しになっているかどうかに注意しないといけないようです。
僕たちのチームの問いは「林業者がかわいくするにはどうすればよいか?」という問いになりました。これは、林業者のとっつきにくさが森林と関わりが少ない人との距離を生んでいるという考えのもと決まりました。


立てた問いへの解決策を考えてみる

今回はブレインストーミングという手法で立てた問いに対してのアイデア・解決策(ソリューション)を考えました。この方法では、解決策を質よりも量を重視しました。どんなにくだらない意見でも受け入れる、盛り上げながら行う、広くスペースを使うなどのコツについても教えてもらいながら実践しました。
本当にくだらない意見も出て、半分大喜利のようになり途中笑いが堪えきれませんでした。
そのなかから、僕たちのチームでは「SNSを通じた林業系〇〇の発信」という解決策を選びました。

考えた解決策の価値提案を考える

ブレインストーミングで考えたアイデアにより説得性をもたせるために、バリュープロポジション(価値提案)を行いました。価値提案を考えるうえで、「ステークホルダー(利害関係者)に対しての困りごとの解消・利得創出をそれぞれ考える」「シンプルで理解しやすいものか?」などの部分を意識しながら行いました。
先ほど考えた解決策が誰にとってどういう価値を提供するのか具体的に考えました。ブレインストーミングで量を出したものに、質の部分を考えることでより実行できそうな感じがしてきました。

ゴールデントライアングルでバランスをみる

ここで、課題に対しての「問い」・解決策である「ソリューションコンセプト」・解決策の価値「バリュープロポジション」の3つのバランスが取れているかを確認しました。この方法はゴールデントライアングルと言うらしいです。
問いとソリューションコンセプトの関係→ソリューションで問いは解けているか?
ソリューションコンセプトとバリュープロポジションの関係→ソリューションはその価値を提供できているのか?
バリュープロポジションと問いの関係→問いが解けたときその価値は提供されるのか?
と言うように各々の関係性をもう一度見直しました。
僕たちのチームはこの作業を通じて、「林業者がかわいくするにはどうすればよいか?」と最初に立てた問いを「どうしたら林業者が応援されるのか?」に修正しました。

CVCA(顧客価値連鎖分析)を用いて図表化する

CVCA(顧客価値連鎖分析)は、アイデアやコンセプトを、価値の流れの視点から捉えるための考え方で、ステークホルダー間の価値の流れを明らかにすることができます。この方法は、主にアイデアやコンセプトの価値全体を俯瞰的に捉え、分析やアイデアやコンセプトの更なる向上に寄与することを目的として行うようです。
今回は以下のような手順で実施しました。
①ステークホルダーのリストアップ
②ステークホルダー間の価値とその流れの識別
③分析とデザイン
模造紙にステークホルダー貼り付けて、価値の流れを書いていきました。価値はお金以外にも、情報や物品などが当てはまります。手を動かして、図表化することによって自分たちの考えた解決策がどのようなステークホルダーに影響を及ぼすのかが一目わかるようになりました。そして、もっとこうしたら良いんじゃないかやここの部分が弱いなど気づいたことを話しながら、ブラッシュアップをしました。


まとめ

最後に、ゴールデントライアングルとCVCAで使用した模造紙を用いて、お互いの成果物を発表しました。この2つを使うことで、①アイデアがもつ価値②価値がどのような影響を及ぼすのかを伝えることができるので、聞く側からしてもすごく納得感の得られるアイデア提案になりました。
今回の研修を通じて、問題を捉え直すことによって解決可能なアプローチを探索する方法と考え方についてよくわかりました。財団で構想している流域人材の方を育成・支援できるようにこれからも取り組んでいきます。

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