もりとみずの仲間紹介No.1 松野 伸介さん〜三大重工業から土佐町へ〜
みなさん、こんにちは。インターンの佐野です。僕以外の紹介記事が掲載されておらず、自分以外にどんな人がもりとみず基金に関わってるかわからんやん…ということで、関わっている人たちにインタビューして記事にすることにしました!題して「もりとみずの仲間紹介」。記念すべき第1回は松野伸介さんです。松野さんは株式会社IHIから土佐町に出向し、役場の業務としてもりとみず基金に関わっています。
今回は、株式会社IHI時代のお話やもりとみず基金への思いなどを聞いてきました!
プロフィール

出身地:京都府
所属:株式会社IHI・土佐町
趣味:サッカー観戦・マンガ・人や組織どうしのマッチング支援
IHI時代
ー重工業のなかで、IHIに入社した理由は?
大学で機械工学を学んでいたんですよ。車とかの特定の機械を作るよりも、幅広い機械を作りたいなと思って重工業に行きたいと。出身も京都で大学も大阪大学でずっと関西にいて、それで東京に憧れがありました。重工業のなかで東京・横浜に研究拠点があったのが、石川島播磨重工業(現IHI)。とてもミーハーな理由ですよね(笑)。
ーIHIではどのようなお仕事をされていたんですか?
入社してからの約20年間は専門分野の伝熱や流体,燃焼の研究開発職をやっていました。具体的には、ロケットエンジンや発電プラントの製品とかです。
その後、2015年から3年間アメリカに赴任しました。アメリカの研究機関や大学、スタートアップ企業との連携を探るということをしてましたね。ニューヨークやボストンを中心に過ごしました。
アメリカでの様子
ーアメリカで仕事なんてかっこいい。帰国後はどうされたんですか?
アメリカ帰国後は、技術企画部で共創・オープンイノベーションを担当しました。当時のトレンドで、自分たちの技術力だけじゃなくて、他の技術が得意な会社と協力して新しい価値を作ろうっていうのを促進する流れがあって、それを2年ぐらい担当しました。
2021年から、社内に新設された戦略技術統括本部に移りました。ここは、目先の1,2年とかじゃなくて、20,30年先にどのような分野に注目して会社として世の中に貢献できるか?というのをロングスパンで考えるという部分でした。例えば、脱炭素など地球規模で長いスパンで取り組まないといけない課題です。そのなかで、防災・減災分野を担当しました。
もりとみず基金との出会い
ーまだ、もりとみず基金と関わるがいまいち見えないですね…
防災・減災を考えるなかで、水循環という概念に注目しました。ダムや水門っていうのは、大規模に水の流れを制御できるインフラです。会社として早明浦ダムの再生工事の一部を担当していて、そういった意味で、水循環の一部を担っていると言えるんです。この再生工事は将来的な洪水の規模に合わせたダムの機能にするためのものです。
ただ、ダムのようにコンクリートで作ったインフラ(グレーインフラ)だけでなく、ダムを取り巻く森林などの緑のダム(グリーンインフラ)と両方を進めていくことが大事だと考えるようになりました。現状、会社として森に対して何が出来るか明確答えることはできないんだけど、森にはどんな能力があって、何をしていけば、能力を十分に発揮できるかということをずっと考えていました。
ーそう聞くとグッと親近感が湧いてきました。しかし、なぜ嶺北に?
妻が高知県の出身で、毎年高知には来ていたんですよ。高知が好きで、積極的に来ていたし、いろんな人と話をするのが好きでした。本当にたまたま高知大学の先生を紹介してくれた人がいて、そこで人工的なインフラと森林という天然のインフラを組み合わせることが重要だと考えていることを話したら、現事務局長の尾崎さんを紹介されました。それでYouTubeを見て、考え方に共感して、即メールしました。
ー尾崎さんとお会いしてどうでした?
お会いした時に土佐町で水がどう浸透するのかというシミュレーションをすでに進めていて、それが1番の衝撃でした。それが、将来的に森林を整備していないとこういうことになるにで、ちゃんと整備しないといけない、それを産業連関表にインプットして、お金としてのインパクトも出そうとしています。当時は、もりとみず基金という名前はまだありませんでしたが、広域で連携して川上と川下のWin-Winの状態を作るというシナリオにすごく共感したんです。
もりとみず基金への思い
ーその流れで土佐町に来たんですか?
総務省の行なっている地域活性化企業人という制度があって、IHIでもその制度を利用できました。それで土佐町に行きたいと直訴しました。自分でここに出向したいと言ったのは、IHI内でもおそらく私が初めてです(笑)。そして、今は土佐町の業務としてもりとみず基金に関わっています。
土佐町に出向時の、土佐町長との写真
ー現在は、どんな業務をしているんですか?
大きく分けて2つですね。
1つは、科学的なデータに基づいたシナリオ作りです。水の浸透のシュミレーションは、専門分野の流体の考え方と似ていて理解しやすかったんです。それをより多くの人に納得性を持ってもらえるように、協力機関と会議をしています。
もう1つは、そのシナリオを基に共感してくれる民間の企業を探すことです。特に流域外の,都市部の企業でというのが、僕のミッションになっています。流域外の人にどう共感してもらえるのかというのは、ハードルは高いんですけど、どういう魅せ方が良いのかとか、すごく興味を感じています。
ー最後に今後の抱負についてお願いします!
川上のインフラが川下の人たちの生活を支えているのは、ダムでも森でも同じだと思っていて、ただそれが川下の人たちに理解が及ぶことはそんなに多くない。その理解や意識が川上から川下で共有されている、醸成されているのがとても良い状態だと思います。流域全体でWin-Winの関係を作ろうとしている基金の取り組みはすごく先進的で、これがうまくいくと他の地域への拡張ができると思っています。私がいる期間では、完成しきらないかもしれないけど、それを少しでも前に進めていけたらとすごく思います!