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チェーンソーワーク研修を実施しました

11/19-20の2日間で林業人材育成研修のひとつとして、チェーンソーワーク研修を実施しました。
小規模な林業者が多い嶺北地域では、伐採に関してチェーンソーを使用することがほとんどです。日常的に使うからこそ、知らず知らずのうちに癖がついていたりします。チェーンソーの扱い方について、基本に立ち返り自分の技術を見直すことでより確かな技術として身につけてもらいたくて本研修を実施しました。

今回はヤドリギの川端俊雄さんにチェーンソーのメンテナンスや基本的操作をおさらいしたうえで、搬出間伐の現場で選木→伐採→造材までの作業についても丁寧に解説をいただきながら実践しました。
川端さんには4月に実施した可搬式林業機会研修でも講師を務めていただきました。

実際に木を伐る前に…メンテナンス

最初に最近チェーンソーを使用していて困っていることについてのヒアリングがありました。個人で抱えている課題を参加者で共有すること、本研修を通して課題を少しでも解消することが目的です。参加者のみなさんが抱えている課題のなかで何度か出てきたワードがありました。それが「目立て」です。

課題共有の様子

目立ては、木を伐ることで摩耗したチェーンソーの刃をヤスリで研ぐことで切れ味を回復させるメンテナンス作業です。この目立て次第で木の伐りやすさが変わってきます。つまり、1本あたりの伐採にかかる時間や、使う労力を左右するものです。木の種類や自分の癖によって刃の形も少しずつ違いを出す奥の深い作業ですが、今回は基本に立ち返りオーソドックスな刃の形を目指した目立てを行いました。

チェーンソーの刃を確認

目立てを行った後は、立木に見立てた丸太を地面と水平に伐ってみて、切れ味の確認を行いました。

目立ての効果を確認する

目立て後は、ウォーミングアップとして立木に見立てた丸太を実際の伐採と同様に受け口と追い口を作りました。4月に行った可搬式林業機械研修と同様に丸太を伐った後に、角度や受け口の深さなどを計測しました。可視化することで自分たちの癖や傾向を改めて確認することができます。もちろん、寸分の狂いなく真っ直ぐに伐ることができれば理想ですが、林業の現場では傾斜や足元の様子も異なります。その際に自分の傾向を意識して作業を行うだけでも、正確性が全然違ってくるそうです。
詳しい内容は4月の可搬式林業機械研修のブログ記事から見ることができます!
https://www.moritomizu.org/news/post-695/ 

午後は搬出間伐の現場で伐ってみる

午後は2割の搬出間伐を行なっているヒノキの人工林に行き、実際に伐採を行いました。
伐る木を選ぶ選木作業から行いました。どういう森林を目指すのか?によって、伐るべき木は変わってくるので絶対的な正解はありません。この木を伐ると周りの木にどういう影響や変化が起こるのかと考えながら木を選択していきます。また、今回は伐った木を丸太に造材して市場に出すので搬出しやすいかどうかも考える必要がありました。ひとつの木を伐ることに対して考えることが本当に多いです。最初は時間がかかるかもしれませんが、このように考えて木を伐ることが森づくりの技術習得に繋がるのではと感じました。
選木が完了したら、伐倒方向や退避場所を確認したうえで伐倒作業を行いました。

みなさん手際よくチェーンソーで木を伐ったのですが、伐った木が他のヒノキに引っかかり倒れない、かかり木になってしまいました。ヒノキ林の間伐ではよくあるそうです。

かかり木の様子

かかり木は牽引具やロープを用いて牽引したり、フェリングレバーという木を回す道具などを用いて処理しました。かかりの度合いにもよりますが、処理するのには時間がかかってきます。あらかじめ、牽引ロープを巻きつけておくなど事前の準備・想定が安全にかつ時間を短く作業を行うことにつながっていくことが実感できました。

伐った木をお金に変える

かかり木を処理してようやく伐倒した木もそのまま置いていてはお金に変換されません。丸太に造材して市場に出し取引されて初めてお金と交換されます。丸太の造材も丸太をなんとなくで作れば良いものではありません。丸太の1m3あたりの単価は、丸太の小さい方(末口)の径と長さ、まっすぐか曲がっているか変わってきます。川端さんから近くの市場の市況を見せてもらうと、径が16cmを境に大きく値段が変化していました。そのため、伐倒した木の直径16cmの位置を予想し、それを軸にどれぐらいの太さと長さをもつ丸太が何個取れるのか予想しました。また、丸太の数が出るので、市場で取引される価格も計算できます。

16cmを探せ

予想をした後は、16cmを探してそこから丸太をどれぐらい採れるのかを実測しました。実測しながら、どのような丸太の組み合わせが1番高くなるのかを改めて考えました。この時、予想がどれぐらい合っていたのか、ずれていたのかはもちろん大事です。さらに、予想で出た金額と実際の値段よりも大きい場合は採算が取れない作業につながってしまいます。自分の予想の傾向を掴む良い機会になりました。
今回の研修では、伐倒した木を丸太に造材する作業までを行いました。

造材の様子

おわりに

今回の研修では、結果的にチェーンソーの扱い方からかかり木の処理まで幅広いことを教えてもらう機会となりました。また、間伐時の選木については5月行った「森づくりの基礎理論」講座で、値段を意識した造材は8月の「育林と山林経営」講座で教えていただいたことと似た部分も多くありました。新しいことを学びつつ、これまでの復習もできる機会になったのではないかと思います。

参加者の皆さんからは次のような感想をいただきました。

・自分のチェンソーワークの癖が認識できました。 他の人の伐倒の様子を見たり意見交換して、知見が広がりました。
・市況を見たこと無く、今後製材をする際に意識してどれ位のモノになるか考えながら仕事してみようと思いました。
・伐倒時に狙いに対しやや右にズレる癖があることが認識できました。 価格が大きく変わる径級を基準とした採材の考え方を学べました。

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