林内作業車のメンテナンス研修を実施しました
10/23(木)は、林業人材育成研修として「林内作業車のメンテナス」研修を実施しました。
林内作業車は、木材を集材・運搬する際に使用する車両でさまざまな種類があります。なかでも、小型の林内作業車は1人で集材・運搬の操作を行うことができ、自伐林家などの小規模林業を行う方には欠かせないものです。
林内作業車が故障してしまうと作業に影響は出ることはもちろん、余計な出費として修理代を払う必要が出てきます。このような状況にならないためにも、故障を未然に防ぐメンテナンスが重要になってきます。
今回は、参加者のみなさんに普段使用している林内作業車をご持参いただき、実際にメンテナンスを行いながら日常点検の方法や気をつけるべきポイントについて高橋機械商会の高橋春吉さんに教えていただきました。高橋さんは、本山町の林業家で、本山町林業研究会の会長も務められています。


ゴミ掃除
現状の確認から行いつつ、底と側面についているカバーを外してみます。中には、スギ・ヒノキなどの皮や葉が溜まっていたので取り除きました。こういうものが積もっていくと、林内作業車が円滑に動作なくなり、最終的に故障につながります。種類にもよりますが、修理の代金は何十万円と掛かることも少なくないそうです。溜まったごみを取り除くのも立派なメンテナンスだと感じました。


ごみを取り除いて、中身を見てみると林内作業車がどういう機構で動いているのか?その仕組みが見えてきました。
底の部分

底の部分に見える2本のワイヤーや右側に見える箱のようなものはブレーキに関するものです。ブレーキレバーのオンオフを切り替えた時にワイヤーが伸び縮みするか確認をしました。今回は、大きな異常がありませんでしたが、不具合を感じる場合はワイヤーの張り具合や箱の中身まで確認することもあるそうです。箱の中身が1番ブレーキに関わっている部分だそうです。オイルに浸っている湿式ブレーキと摩擦でブレーキを効かせる乾式ブレーキの2パターンあり、それぞれでメンテナンス方法も異なります。湿式ブレーキはメンテナンスが比較的に楽ですが、その分車両の値段が高くなる傾向にあるそうで、乾式ブレーキはその逆になります。
高橋さんは、高いものにはきちんと理由があると話されました。購入時とその後の手間を総合的に考慮して機械を選ぶためにも、知識が必要になると感じました。
側面の部分
側面の部分は、ウィンチやキャタピラの足回りなどの動力に関するものがありました。

今回の林内作業車はクラッチ機構で動力を伝えるベルトを回転させたり、空回りさせたりを切り替えるベルトクラッチ機構という仕組みです。まずは、ベルトの状態を確認しました。使い続けていると、摩擦や経年により劣化するので、状態によっては交換します。ベルトの状態確認は目視で行うことができますが、交換の際は分解する必要があります。このときに分解する前の様子を写真で記録しておくことが重要だそうです。きちんと元の位置に戻せないと、動力を繋ぐ・切るがうまくいかず、操縦ができなくなってしまいます。組み立てた後、クラッチレバーを切り替えて、クラッチがうまく機能しているかもしっかりと確認します。
クラッチ機構もとり外してバラしてみました。サビが確認された部分はしっかりと研磨スポンジで磨きます。他に確認するポイントは、側面です。この部分は摩耗しやすい部分で、摩耗が進むとクラッチによる動力を繋ぐ・切る操作ができなくなり、走行やウィンチを用いた作業ができなくなります。

他にも、林内作業車は軽油などを燃料としてエンジンを稼働させるので、自動車同様にエンジンオイルの交換などを行いました。1台を複数人で作業してもひとつひとつの作業は時間がかかりました。雨で屋外作業ができない時や現場から引き上げた時に確認する時間を確保して点検を行う習慣をつけていくことも大切になってきます。
おわりに
今回は、実機を用いて手を動かしながらメンテナンスの方法などを学びました。高橋さんは、自分の手でメンテナンスを行い、分解・組み立てを行うことで自分の使用している機械についての理解が深まっていくと話されました。今回の研修は自分たちが使用している林内作業車に対しての理解を深めることができる機会になったのではないかと思います。
参加者のみなさんからは次のような声をいただきました。
・特に失敗した時のリカバリーなど大変勉強になったと共に、知恵や機械に対する向き合い方など沢山のことを学べた1日だった。
・なかなか色々な所をバラす機会が無いのでいい経験になった。
・少しでも自分で触れるように、見るべきところを学べた。